2才の息子、スカートの次はネイルに目覚める。〜『ぼくのバラ色の人生』

      2017/05/30


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1才の頃からスカート好きな息子が、最近はネイルが気に入ったようです。そもそもは3才年上の姉の真似なんですが、姉がマニキュアをしているのをみて、僕にもして欲しいとせがむので、ペンで塗ってあげました。すると、「みてみてー!!キラキラでちょー!!きれいでちょー!!」と大喜び。

次に、今度は姉が耳にシールをはって「イヤリングしてるの!ピアス痛いからね。イヤリング」と言っているのを見て、今度は「◯◯(息子の名前)にも!!チールはって!!」とイッチョ前にイヤリングつけた気分を味わって喜んでいます。

 

私自身は、「わー!かわいいねぇ。似合ってるよ。」と、要望のままにスカート履かせたり、ネイル(ペン)塗ったり、シール貼ったりしてます。外に出るときも、スカートが長過ぎてストライダー(ペダルとブレーキがない自転車)に巻き込まれそうとか、安全面に問題がある時以外はそのままです。たまに、「えっ!!!???」とこっちをガン見する人もいますが、気にしません。そんな時は笑顔で「こんにちは」と言ってスルーします。

 

そして、最初は「ええ!?やめなさいよ!!」と言っていた義母も、最近は「しょうがないわねぇ。似合ってるわよ。」と2才息子を認めてくれるようになりました。「ちょっとそれは、、、」と引いていた義父、「それで外行くのはやめて。。。」と言っていた父親も「まぁ、嬉しそうだし、、、」と何も言わなくなりました。そして本人の息子はもちろん、嬉しそうです。

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こんな日々を送りながら、この前、ふと思い出した映画がありました。

『ぼくのバラ色の人生』フランス

●“女の子になりたい"という夢を抱く少年のハートフルドラマ!
●少年の無邪気でひたむきな生き方に周囲は戸惑い、両親は理解しようとするのだが…。
●カンヌ国際映画祭をはじめ世界中で大絶賛され、多くの人々の心を震わせた。
●1998年ゴールデン・グローブ賞最優秀外国語映画賞受賞。

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1997年公開なので、もう20年近く昔の映画ですね。この映画では、女の子になりたい男の子と、その子供を守ろうとする両親、嫌がらせや心ない言葉を投げつける近隣住民などの、それぞれの関係を繊細に優しいタッチで描いている作品です。

この作品では、家族がもう可哀想なくらい追い詰められます。両親もとても悩みます。社会的批判の目にさらされて、ニッチもサッチも行かなくなって、もうどうしたらいいのか!!

と、まぁ、最後はほっと落ち着く内容も出てくるので救われますが、この状況は20年経った今はどうでしょう。ちょっとはマシになったかな。「LGBT」や「トランスジェンダー」、「性同一性障害」という言葉もだいぶ広く知られるようになりました。正直、この定義を詳細に理解している訳ではありませんが、おおまかには分かっているつもりです。数人LGBTの友達もいます。

 

この20年前のフランス映画からすると、今の社会はLGBTの人にとって、多少は生きやすくなったのかもしれません。世界的に、LGBTの人への偏見や、対応は徐々に変わってきているなと感じます。渋谷区が同性パートナー条例を成立したり(渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例東京レインボーウィークとかあったり、メディアに出てくる頻度は多くなりました。

 

でも一方で、メディアへの露出が多くなったり、社会的に目立つようになると、これまでLGBTを知らなかった人たちからの反発も増えます。海老名市長が「異常動物」と差別発言したり、なんだかんだ職場で差別を受けたり(性的少数者(LGBT) 6割「職場で差別を受けた」、東京新聞)。これは氷山の一角でしかないでしょう。

 

 

自分の関係する人に、実際にLGBTの人がいるとわかったら、そのまま、何も変わらず付き合えますか?私は付き合える自信があります。でも、この人は態度が変わらないだろうなと思っていた人でも、態度が変わってしまう人がやっぱりいます。もしかしたら、どう接すればいいのか分からないのかもしれません。人は、実際にその場面にならないと、どうなるか分からないものです。まぁ、時間が経てばまた落ち着いたりもしますが、、、。時間はやっぱり薬ですね。

 

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息子の話に戻ると、そもそも2才なので、性別はあまり関係ないですし、本人も好きな事をしているだけです。が、私は、そのままの、ありのままの姿でいて欲しいなと思っています。

自分の納得できる生き方を。
自分自身を認められない、本当の姿を見せられない生き方は、あまりにも辛すぎます。

もし本当の自分を見せられない状態であるなら、その場所は、もしからしたら自分が本来いる場所ではないかもしれない。その状態は、何かが間違っていると思います。

生きていると、色々な事がありますね。親せきが植物状態で何年も過ごしているとか、知り合いが突然自殺してその体を(私の)親が探しに行ったとか。友達と突然連絡がつかなくなったらお風呂場で亡くなってたとか。2才息子も、まだ2才だけど、痙攣を何回かして脳検査したり、喘鳴で動けなくなって、「ママ、苦しい、、だっこ!!」とうずくまってしまったり。

日常生活を何気なく過ごしていますが、本当はこの日常生活を何気なくすごす事自体が、とても難しい事で大切な事なんだ、と、多くの人は忘れているのかもしれません。

そもそも一般的に普通だと思われている「健康的な生活をおくる」事自体、普通ではなくとてもありがたい事なんだと、それに多くの人が気づいたら。もしかしたら、本当に大切なのは「性別」という枠組みじゃない、その人となりであり、「人格」なんだと、思う人が増えるかもしれないですね。

 

 

もし、あなたのお子さんが異性の着る服や髪型を真似したい。と言ったら。私の意見としては、させてあげて欲しいです。または、知り合いのお子さんが、異性の服をきてとても嬉しそうだったら。「かわいいね」「かっこいいね」と言ってあげて欲しいです。子供は敏感です。「ダメだよ」と言ったら、徐々に殻にこもります。そして、「ああ、これは言っちゃいけないんだ」「しちゃいけないんだ」と、本当の気持ちが言えなくなって、だんだん自分の本当の気持ちが分からなくなります。そんな気持ちを抱え込ませないように。1人でもいいので、認めてあげられたら、そんな子どもは救われるんじゃないでしょうか。その笑顔を守るために。

 

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最後に、ふと思い出した父親の言葉。

いくら勉強できても、家の手伝いをしない子はいらない

 

強烈でした。なまじ学校の成績はよかったので、、、。でもこのパンチを貰っておいてよかった。軸が定まりました。

大切なのは、性別ではない

 

 

関連記事
息子が女の子に?と、虹の話

 

参考
LGBTと人権 - LGBT の人びとを取り巻く環境(Amnesty International)
"性同一性障害"と"トランスジェンダー"ってどう違うの??(Huffington Post)

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