一緒に過ごした時間の積み重ね。それが大切。〜『カーズ』

      2017/05/30


息子が大好きな映画、『カーズ』。このメイキングを見ていて、ふと思い出したことがあります。
私が結婚をした時、父親に言われた言葉です。

何気ない日常生活を続けることが、一番難しい。一緒にテレビを見たり、ご飯を食べたり。そんな時間が大切なんだよ。」

 

思えば、父は私が保育園の時から単身赴任で家におらず、週末だけ帰宅する生活を何年も続けていました。週末も家で仕事をしていたので、大抵いつも忙しそうでした。母も父を助けて、3人の育児をしながら仕事をしていました。私に子どもができてからやっとその大変さが想像できるようになりましたが、それもここ数年の事。これまではその忙しさや大変さが全く分かりませんでした。というよりも、想像もしませんでした。

 

私が高校生の時に、父が単身赴任から帰ってきて一緒に暮らすようになりましたが、当時は私は受験生。ご飯を食べ終わったらすぐ部屋に帰って勉強をしていました。そんな時、「一緒にテレビ見ようよ」と父に言われた事がありますが、「勉強しなきゃいけないから。」と部屋にこもっていた私。今になってやっと、「一緒にテレビ、見ればよかったな、、、」と思います。あ、いや、別に父親が亡くなった訳じゃないですが。

 

 

さて、『カーズ』のメイキングを見ていたら、ジョン・ラセターさんがこんな事を言っていました。

「仕事に没頭して何年も過ごしていたら、妻にこう言われたんだ。

「ジョン、あなたの仕事を私も子供たちもとても誇りに思っているし、心から応援しているわ。でもね、気をつけて。子どもたちはすぐに成長してしまう。あなたが気付いた時には、もう大人になってしまうかもしれない。」と。

その時僕はハッとした。それで、一夏休みをとって、家族で車で旅行をした。これがカーズの始まりなんだ。」

 

そうか、そうだ。そうだよ。そうだった!!と、妙にハッとしました。身に覚えがあります。といっても、私の場合、子どもとして、ですが。
子どもは順応性が高いです。環境に割と早く慣れます父親がいつもいなくても、生活に困らなければ、母親が近くにいてしっかり見守ってくれていれば、特に問題を感じる事はありません。それが普通だと思うからです。

 

でも、そのままの状態で子どもが大きくなったら、父親が帰ってきたらどう反応するでしょう?私の場合、高校2年ぐらいに父と一緒に暮らすようになりましたが、それまでと同じような生活を続けました。つまり、特に何か特別な事はしませんでした。自分のペースで生活を続けたわけです。ご飯を食べて、部屋にこもる。もともとテレビはあまり見ないので、部屋で本を読む事の方が多く、部屋にいる時間が長かったです。兄や姉はもう家から巣立っていて、子どもは私1人。さらに私は受験時期に突入。もしかしたら、父は寂しかったかもしれないですね。

 
 

さて、では今度は私が親になってどうでしょう?まずい。まずいかもしれない、、、。今私には2人の子どもがいます。5歳の娘と2歳の息子。子どもは正直です。遊んでくれる、かまってくれる人が大好きです。だから、いつも仕事ばかりしている父よりも、遊んでくれるおじいちゃんの方に懐いています。5歳になれば、やっぱりお父さんにくっ付いていきますが、2歳児はおじいちゃんに寄っていきます。夜寝かしつける時に、父親がこそっと息子の隣に寝転んでみると、「とーたん、しごといっちゃって!!」と怒られます。ちょっと可哀想なお父さん、、、。

 

でもここ数日は家族で一緒にいる時間が多かったので、2歳息子がだいぶ変わってきました。朝起きて「とーたんは?とーたんはどこ?」って言ってみたり。車で遊んでいるとき、ふと、「とーたんとブーブーしたかった!」と悲しい顔をしたり。やっぱり、一緒に遊びたいみたい。でも、いつもいないと、「とーたんはいつもいないから。」と体に刷り込まれて、父親がいない環境の方に慣れてしまうのかもしれません。

 

早期教育や厳選されたおもちゃや絵本、1日の生活リズムや運動量。子育てをしていると、様々な情報に触れます。でも、子どもに限らず、家族や恋人など、大切な人を大切にする基本は、

 

「何気ない一時を、一緒に過ごすこと」

 

これに尽きるのじゃないかと思うのです。でも、大人になると、この「時間を作る」ことが難しかったりするんですけどね。

 

今年1年、みなさまにとって、素晴らしい年になりますように!

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