子どもを性犯罪から守るための基礎知識1:「スクールセクハラ」の言葉を知る

      2017/09/26


ここ最近、子どもが被害者の性犯罪に関するニュースが後を絶ちません。小学校の登校中にさらわれる、学校の部活の顧問に裸にされる、福教頭におそわれる、見守り隊のおじいさんに触られる、、、。「こども」「性犯罪」の2文字で検索すると、きりがないほど検索結果が出てきます。

ここで注意したいのは、「最近に限って、事件数が増えたわけではない」という事です。もともと、子ども(ここでは、小中高を対象にします)の性犯罪は昔から多くあって、ただ、表立ってニュースにはなっていなかったのです。特に、こういった被害は近親者・知り合いによって起きる割合がすごく高い、、、というのは、話が長くなるのでおいといて、、、ここでは、「学校」という特殊な場所でおこる「性犯罪」について考えたいと思います。

 

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私の娘も、4月から遂に小学生になりました!毎日歩いて登下校。でも、小学1年生って、まだこんなに幼かったっけな?私はもっとしっかりしてた気がするけど、、、。

なーんて、昔の事を思い出してハッとしました。「小学、中学、高校になっても、今の大人の私(30代後半)から見ると、だいぶ子どもだ。」という事です。自分ではしっかりしているつもりだったけど、今の40近くなってきた私から見ると、子ども時代の私は、特別頭が良かった訳でもなく、人気者だった訳でもない。普通の子で、たまにいじめとかあったり。そんな子ども時代の自分を、今の私が本気で騙そうと思えば、たぶん、普通にできる。と思います。

さて、では今子ども時代を謳歌している子どもたちは、昔に比べて賢く強くなったのでしょうか。いやー、自分の娘、息子を見ていると、全くそうは思えません。

人生経験の浅い子どもたちは、親や先生のいう事に従順です。いう事を聞かない事もありますが、基本的には「先生の言うことはちゃんと聞かないといけない。」と思っています。まさか、先生が犯罪を起こす可能性あるなんて、考えた事もないでしょう。逆に、先生をしっかり信じないと、授業なんて成り立たないですからね。

ただ、ここには、「先生はいつも正しく、子どもは常に教わる人」という圧倒的な力の差が生まれています。学校で起きる性犯罪は、この力の差を利用している場合が多い。、、、という事が、今回読んだ『スクールセクハラーなぜ教師のわいせつ犯罪は繰り返されるのか』に具体的に書いてありました。

 

「こども」「性犯罪」「守る」でググると、大量の情報が出てきますね。

などなど。こういった基礎知識ももちろん必要です。服装や通っていい場所などに対する知識があるのとないのでは大きな差があります。が、ちょっとここでは視点を変えて、そもそもなぜ性犯罪は繰り返されるのか(特に学校において)。について考えたいと思います。

それでは、この『スクールセクハラ』を読みながら、学校での性犯罪について、なぜそんな事件が起きるのか。そしてなぜ同じ事が繰り返されているのかについて、考えていきたいと思います。

 

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スクールセクハラとは

まずはじめに、こちらをご紹介。

『スクールセクハラーなぜ教師のわいせつ犯罪は繰り返されるのか』
池谷考司著
2014年10月10日第1刷

 

この本は、私が「娘が性被害に合わないために、どうやって、何を伝えたらいいんだろう?」と思っていた時、ふと図書館で見つけた本です。『スクールセクハラ』という文字に目が釘付けになり、そのまま借りて、一気に読んでしまいました。

著者は池谷考司さんという方で、共同通信社の記者の方です。

1988年共同通信社に入社。各地支局を経て95年から本社社会部で文部科学省や東京地検を担当。(略)2014年7月から宮崎支局長。
(著者略歴より一部抜粋・編集)

 

この池谷氏が10年以上かけて現場に出向いて取材してまとめた、渾身の作が本書です。ネットにもよく記事として色々な事件が掲載されますね。そもそれは具体的な背景や理由はなかなか出てきません。本書では、池谷さんが実際に被害者と加害者に取材をして双方の声をまとめており、その意見の食い違い、そしてその食い違いがなぜ起こるのかという所まで踏み込んで書いています。

まさに。これまで、タブーとして誰も触れてこなかった、学校における性犯罪、「スクールセクハラ」が起こる仕組みについて言及しているのです。

 

さて、ここで「スクールセクハラ」という言葉について、ちょっと本の引用を頼りに、言葉の意味を考えてみたいと思います。そもそも、「スクールセクハラ」ってなんなの?という事です。

 

「スクールセクハラ」という言葉はもっと世に広まってほしいと考えている。だからこの本のタイトルに付けた。

言葉は武器だ。どう呼んでいいか分からない「困った出来事」に名前を付けることは、そこに問題があることを当事者や周囲の人たちにはっきりと気づかせる効果がある。(p248)

 

「セクハラ」や「虐待」は、言葉が定着して初めて「確かにそういう問題はあるよね」と世間に再認識されるようになった。言葉が広がるまでは「セクハラ」は「オヤジがいやらしい目でじろじろ体を見たり、触ったりする」ようなことであり、「虐待」は「しつけの行き過ぎ」のように思われていた。言葉が広がることは、それまで「たいした問題ではないだろう」「自分には関係ない」と思っていた多くの人に関心を持ってもらって、原因に立ち向かい、解決に向けた対策を打ち出すことにつながる。(p249)

 

「スクールセクハラ」という言葉は、(略)学校で起きるセクハラ行為に幅広く使われている。生徒同士や、教師から教育実習の大学生へ、(略)教師から教え子へ(略)。

被害者の二人はそれが「スクールセクハラ」と呼ばれる問題なのだと知らされていたら、もっと早く対応できたのではないだろうか。子どものころの二人は、まさか教師が性犯罪に手を染めるとは思わず、そんな社会問題があることすら知らなかったのだ。(p250)

 

確かに、私はこの本に出合うまで「スクールセクハラ」という問題について、深く知らなかったし、むしろ気付いていませんでした。ニュースによく出てくるのは、学校における犯罪ではなく、学校外における犯罪ですね。近所の誰か、通学路にいた誰か、顔みしりかもしれないし、知らない人かもしれない、そんな人達による犯罪です。ですが、「スクールセクハラ」を知ることで、実はこれは珍しい事件ではないのだという事が分かるようになりました。

 

 

 

子どもが自分が理解できない出来事が起こったらどうなるか

ちょっと脱線ですが、、、一つ、どうしても忘れられない出来事があるのでご紹介を。。

 

10代後半の学生の時、電車で2人がけの椅子に一人で座っていると、1人の外国人の男性が私の隣に座りました。「ハロー、ここ座っていい?」「旅行?」「どこまで行くの?」「僕、手相みられるんだよ。みてあげるよ!」

人当たりのいい男性で、色々話しかけてきます。そして、相手の「手相みてあげるよ!」の勢いに乗ってしまい手を出すと、彼は私の手をしっかり握りました。で、「この線は~~だね。」「これは~~だよ。」といって、手を握る位置が少しずつ上に上がってきます。いつの間にか手相の話は終わっているのに、彼の手は私の腕をまだ掴んでいます。手の平から手首、手首から肘、肘から二の腕、それから、、、。彼の手はさりげなく私の胸に当たってるわけです。

 

おかしい。

 

でもあまりの出来事に驚いて体が固まっている。思考も停止。

えっ、、、、????どうしたらいいの???

と思っているうちに、電車が止まり、彼は「じゃーね!!」と爽やかに降りて行きました。

 

 

30代半ばになった今なら、「いや、(手相見ていただかなくて)結構です」と普通に言える。「手相苦手なんです。すみません。」とか。もし見てもらったとしても、手首に来た時に、さりげなく振り払うとか。でも、その時はできませんでした。18才だったのに。そもそも、何されてるのかよく分からなくて、「え???」と思っているうちに時間は過ぎ、男性は去っていきました。

 

これが、小学生だったらどうなんでしょう。そもそも、「性被害」という言葉の理解も危ういのに。なにがなんだかよく分からないまま、時間が過ぎて、え???どうしよう???なんかすごく嫌だけどどうすればいいの???と固まっているうちに被害にあって、「ああ、あれはもしかして、、、!!」と後から気付く。という事になるのではないでしょうか。

 

「スクールセクハラ」という言葉を知るのは、意味もあわせて知る事になります。学校において、こんな事件もあるんだよ。こういった被害が出ることもあるんだよ。と、まずは私自身が「スクールセクハラ」について理解を深め、そして娘・息子にも伝える。

これが、一番はじめに娘を守る第一歩かなと思います。

 

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そして、、、すみません、、、「スクールセクハラとは」を書いているうちに、こんなに長くなってしまいました、、、。ということで、今回は、「スクールセクハラ」の言葉を知る、そして子どもに伝える。ことが、まずは性被害から子どもを守ることの第一歩。という事で、ここで一旦終わりにしようと思います。

 

読んでくださった方、中途半端ですみません、、。次回は、なぜ、教師がわいせつ犯罪に手を染めてしまうのか、その理由と学校の仕組みについてまとめたいと思います。では!!

 

余談

手相を見るのは、インド・パキスタン辺りの常とう手段ではないかと思っています。というのは、電車であった人は多分インド系でした。そして、日本でも同じことされましたけど(こっちは胸まで触らせなかった!でもずっと手を握られました)、その人はパキスタン人でした。って、2回も引っかかって私ってバカ、、、。みなさま、手相は見せてはいけません。面倒なことになります。

 

 

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