しんちゃんのお尻出しは親への信頼感の表れ!『子育てにとても大切な27のヒント』汐見稔幸著

      2017/06/19

最近子どもを叱ることが増えたので、もう少し心を落ち着かせようと、この本を読んでみました。この、いかにも悪ガキっぽいクレヨンしんちゃんと、その対応に追われる母:ミサエさんから育児を学ぶのも、なかなか楽しそうだな。ということで。

2006年に第1刷発行なので、もう10年以上も前の本ですが、子育てについての考え方や子どもの見方は、たくさん参考になる点があります。

 

著者の汐見稔幸(しおみとしゆき)氏は、私が好きな著者の一人で、専門は、、、と私が書くよりも、こちらを読んでみましょう。

プロフィール:汐見 稔幸(しおみ としゆき)
白梅学園大学学長・東京大学名誉教授
専門は教育学、教育人間学、育児学。育児学や保育学を総合的な人間学と考えており、ここに少しでも学問の光を注ぎたいと願っている。
また、教育学を出産、育児を含んだ人間形成の学として位置づけたいと思い、その体系化を与えられた課題と考えている。
三人の子どもの育児にかかわってきた体験から父親の育児参加を呼びかけている。

家族デザイン研究所:http://www.geocities.jp/kazokudesign/index.htmlより抜粋

つまり、一点集中の専門ではなく、教育、育児、保育を幅広く捉え、「総合的な人間学」として取り組んでいる。と、まぁ、つまり、子ども・人に優しい人だ。という事だと思います(ここ、すごい極論、、、)。なんにせよ、汐見氏の本は読んでいて元気になるし、「ああ、こんな母親でどうしよう、、、」という気持ちも軽く、前向きにしてくれます。

ということで、では実際の本の内容はどうだったかというと。

これもまた、今の育児に対する、若干落ち込んだ私の気持ちを明るくしてくれました。

 

では、どんな内容だったか、目次を一部ご紹介します。

 

Part1:おバカな子でも大丈夫

Part2:オラの家はストレス知らず

Part3:遊びの天才は生きる天才だゾ

Part4:オラん家に来ればー

子育てにとても大切な27のヒント―クレヨンしんちゃん親子学
汐見 稔幸,野原しんのすけ一家 双葉社 2006-04
p6-8 目次より抜粋

目次だけ読んでも、「ああ、そうだ、育児ってこんなだった。忘れてたよ、、、」という気持ちになります。

この本の焦点というか、根底にある考え方は、次です。

 

子どものありのままを受け止め、
ありのままの家族をさらけ出す。

そうした「ざっくばらん」の野原家流の子育てを、

ぜひ参考にしていただければと思っています。

子育てにとても大切な27のヒント―クレヨンしんちゃん親子学
汐見 稔幸,野原しんのすけ一家 双葉社 2006-04
表紙カバー

つまり、「子どものありのままを受け止める」だけではなく、「ありのままの家族をさらけ出す」の2点です。

「子どものありのままを受け止める」というのは、そうは言ってもなかなか難しいですね。

特に、性格や能力の比較になるとキリがない。

「●●ちゃんは名前が漢字で書けるのに」「■■くんは逆上がりができるのに」「▲▲ちゃんは〜」と続きます。自分の子供ができるときは、気にならなくても、何か出来ないことがあったら、その点が気になります。

 

 

少子化で、子どもをひとりひとりていねいに育てなければならなくなった時代です。親がちゃんとしなきゃ子どもは育たないということになり、親がちゃんとしてるかどうかは子どもの育ちで判断されてしまうという世の中になってしまっている。 (p78)

まさにこれです。子どもが何かした時はすぐ、「お母さんが●●だから」とか、「お母さんが■■だから」とか言われますね。

 

どっちが勝ちとか、負けるとか、そんな考えが始まったとたんに、子育てが窮屈になります。比べてばかりいると、親はどんどん子育てが難しくなる。その子のいいところが、だんだん見えなくなってしまう。子どももつらくなります。 (p80)

でも、本当に必要なのは、誰かに何か言われてもその事を気にするのではなく、子どもの姿をしっかり見つめて、その姿を認めてあげることなんだと思いす。

出来ないことや苦手なことがあっても。怒りっぽいことや、怒ると叫ぶことや、どうしても早起きができなくて寝坊さんで幼稚園に遅刻しがちなこと。それに忘れ物も多いことなどなど。

でも私も寝坊だし、忘れ物はするし、遅刻しがちだし、未だに幼稚園のお友達の名前を覚えてないし、前日の夜中まで次の日が遠足だったと忘れてたし。いろいろ、できないことがたくさんあります。

子どもを誰か他の子どもと比べなくても、家の中で、家族の中で、兄弟間の比較や、親子での比較。比較はどこでも生まれます。

まずは、比べるのではなく、ありのままを見つめる。子育ての原点1。再確認でした。

 

では、次に、2つめ。「ありのままの家族をさらけ出す」ってなんでしょう。

「子どものありのままを受け止める」はまだ分かりやすい気がします。

でも、私は全体を読んで思ったのは、「良い点も悪い点も、ありのままの家族の姿を受け入れるそれを子どもにもご近所にも見せる→ 開かれた家庭にする → 家族内だけの子育てにとどめず、周りに手伝ってもらう。ということだと思います。

ドジで寝坊で忘れん坊のお母さん。早寝早起きができなくて、なんだかんだお菓子を食べて体重管理ができないお父さん。子どもも、そんな親の面を知る必要があります。

子どもはともすれば、親は万能だと思いがちです。特に幼少の頃。

まだ自分で出来ることが少なく、親に頼るしかありません。親の言う事は正しいと思うので、親の考えをそのまま信じて、子どもの考えそのものになっていきます。

でも、本当に万能でしょうか?私は全然ダメです。

ここで、1つめ。「ありのままの家族の姿を受け入れる」が重要です。

 

つまり、お母さんお父さんが、自分たちの姿を認める。これでいいんだ。と思うことだと思います。

子どもの事だけではなくて、自分自身、親自身の姿も、これでいいんだよ。頑張ってるよ。えらいえらい。と認める。そしたら、自分自身に優しくなれるでしょう。そしたら、子どもにも優しくなれるでしょう。

人にあやまるという習慣のなかった(略)お父さんお母さんにとって、子どもに親の自分が「ごめんね」と(略)まず勇気を出してあやまってみる。子どもにあやまったとき、自分が自由になれた、楽になったなという体験を、親は必ずするはずです。そうすると、親としてのプライドを振りかざして意地をはる必要は全然なく、親だってありのままの自分を大事にすればいいんだな、という気持ちに、少しずつなっていくんですね。

子どもにあやまるという行為は、(略)親自身が自分の自由さ、自然さを取り戻すチャンスなのです。(p58-59)

そして、子どもと家族、それぞれのありのままを受け入れたら、今度は外にも見せる訳です。

 

この、外に見せる、という一番近い存在は、「近所付き合い」だと思います。でもいきなり「近所付き合いを始める」というのは、ちょっとハードルが高いですね。いきなりはできないです。でも、小さい子なら、毎日散歩したりしますね(時々かな)。または、買い物に出かけたり、ゴミだししたり、掃除したり、なんだかんだ外にいる時に、隣の人や同じ年ごろの子連れの人と話す機会は見つけられると思います。

そんなときは、まず「挨拶」しましょう。とりあえず、「挨拶」。

営業と同じで、まずは顔を覚える・覚えてもらうことから始めればいいと思います。

 

カナダの州政府が作っている「ノーバディ・イズ・パーフェクト」という育児書があります。母親は子供を産んだらすぐ母親になれるわけではない。完璧な親なんていない。だから、ノーバディ・イズ・パーフェクトなんです。

とてもすばらしい育児書なのですが、そのはじめのほうに、なにをさしおいても育児でいちばん大事な能力は、「困ったときに助けてと言えること」だとあります。

子育ては、知恵と体験を持つ人に頼らないといけない。ひとりでできるわけがないのです。」

子育てには地域社会の多くの人のまなざしが必要。現代の社会ではなかなかむずかしいけれど、自分だけで子育てしない、という原則を忘れずに、どんどん手伝ってもらいましょう。(p157-158)

この、「どんどん手伝ってもらいましょう」という言葉は、「じゃあ、誰に手伝ってもらえばいいの???」という多くのお母さんたちの叫び声が聞こえてきそうですが、、、。
まずは、近所の人との挨拶と、支援センターなどでスタッフの人と話す。などがいいかなーと思います。私はよく行く支援センターで友達ができました。ママ友ではなく、自分の友達です。

だいぶ長くなってしまいました、、。

今度は、以下の本も読んでみたいな〜。

 

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