大人にオススメ。才能より、一歩踏み出すきっかけがあるかどうか〜『てん』
昔、私がまだ20代で独身だった頃。本屋で読んで即購入した絵本がありました。
その本は、10年以上経った今でも、私の本棚に入っていて、これまで何人かの友達にもプレゼントしました。
今日は、そんな大人にも子どもにもオススメの本をご紹介します(なんだかそういう気分)。
『てん』ピーター・H、レイノルズ作、 谷川俊太郎訳
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絵を描くのが大嫌いな女の子がいて、お絵かきの授業が終わっても、やっぱりなにも描けなくて。
真っ白な紙を見て、先生がいう。
「ふぶきの中のホッキョクグマね」
でも女の子は怒っている。描けない自分に。
そんな女の子に、先生はこう続けるのです。
「なにか、しるしをつけてみて」
「そして、それがどうなるか みてみるの」
女の子は、そんな先生の優しい言葉に不機嫌な態度を崩さず、ペンを紙におしあてて、「ひとつのてん」をかきます。
「これでどう!!」
真っ白な紙に、黒いペンで描いたひとつの「てん」。
それを見て、先生は紙にサインをするようにうながします。
「いいわ。絵なんてかけなくても、名前くらいかけるもの。」
そして、次の日、女の子が見たものは何でしょう。
驚きつつ、眺めたものは、壁にかかった、「金色の立派な額縁」。その中にあるのは、昨日女の子が描いた「ひとつのてん」の絵でした。
さて、その立派な額縁に入った、たったひとつのてんが描かれた、ワシュテ(女の子)の紙。
それを見た女の子は、どう思ったでしょう。
「ふーん。こんなてん。もっとりっぱなてんだって、私、描けるわ!」
それから、女の子は描きまくります。大きなてん、小さなてん、色々な色のてん、てんを重ねてみたり、てんを描かないで、背景を作って、白い部分がてんに見えるようにしてみたり。そして、てんのオブジェも。
この絵本を初めて読んだ時、すごく、心を動かされました。何に?何だったんだろう?
今思うと、人との関わり方で、忘れたらいけない事、忘れたくない事が、ここには含まれてると思ったのかもしれません。
『てん』と出会ってから、色々な事がありました。一生懸命取り組んでいた仕事をやめて、フラフラした数年間を過ごし、結婚して子どもが2人生まれ、子どもの入院やら何やらで落ち込んだり、上の子が小学生になって宿題を全然しないとか、自分でやりたいと言ったZ会を溜め込んでるのを見てイライラしたり。楽しい事もたくさんあったけど、悲しい事や、怒る事もたくさんありました。
人と関わるっていうのは、自分の思い通りにならない事がたくさん出てくるって事ですね。
そんな時、あなたはどう反応しますか?私はやっぱり、相手を責める事が多いです。
なんでこれやらないの?
これくらいちゃんとしてよ。
これくらい気付いてくれるといいんだけど、、、。
でも、もしかしたら、言葉を一つ変えてみたら。
相手を責めるんじゃなくて、ほんの少しだけでいいから、前に進む一歩を手伝ってみたら。
そしたら。もしかして。その時には自分にも相手にも気づかなかった何かが、大きく成長するかもしれません。
それは相手だけでなく、自分自身についてもいえると思います。
できない、自信がないと思っている事でも、決まった方法でなく、自分に合った環境や方法なら。一歩、何か物事を進めてみたら、そこから何かが起こるのかもしれません。
本の最後は、こんな言葉で締めくくられています。
中1のときの数学の先生、ミスター・マトソンに捧げる
先生は私に「じぶんのしるし」をつける勇気を与えてくれた
『てん』は、今では子どもたちの好きな絵本の1つになりました。
寝る前に読む本もってきて〜。というと、時々『てん」が出てきます。
ぜひ、読んでみてください。
そして、ワシュテが最後なにをしたのか。確認して欲しいです。
プレゼントにもぴったりですよ!大人にも。子どもにも。