幼稚園の保護者会にて。園長先生の視点が思った以上に昭和でショックだった話
2017/05/30
先日、幼稚園の保護者会に行ってきました。保護者会では毎回はじめに園長先生のお話があるのですが、今回はその内容にかなり違和感を覚えた点がありました。簡単に言うと、働くママの子どもは基盤となる人格形成になんらかの影響が出るので、フルタイムで働くのは小学校にあがってからがよい。という内容でした。
ちなみに、当日はいつもの園長先生が体調不良でこられず、姉妹校の園長先生がきてお話してました。いつもの先生はそんな話しないんだけどなー。。。
前提として
- 私自身は保育園出身
- 私はフルタイムで働いているわけではないが、自営業なので、仕事は子どもが寝たあとの深夜や、祖父母に預けられれば預けて日中や夜間している
- 私としては、保育園・幼稚園どちらがいいとは思っておらず、それぞれメリットデメリットがあると思っている
- そのメリット・デメリットを考慮して、各家庭、子どもにあった先を見つけられれば一番だと思っている
- 幼稚園の活動や教育方針はとても気に入っていて、娘も毎日楽しそうに通っている
- この記事は特定の幼稚園をバッシングするわけではなく、単にいつもお世話になっている園の肝となる人の考え方が、自分の考え方と乖離していて非常に驚いた、という話です。
園長先生の話の概要
まず、新しい年度が始まって2ヶ月なので、子どもによってはまだ幼稚園自体にやっと慣れてきた子もいます。特に年少さん。年中さん年長さんで、ずっと通っていても、クラス替えでいつも遊んでいた友達と離れてしまった子もいて、最近やっとクラスの友達に馴染んできた子もいます。ママさんたちも、新しく通い始めた人もいるし、もう3年目という方もいます。初めての方はやや緊張気味だし、もう慣れている人はいつもの会だわ〜という趣で参加している、そんな状況です。そんな時の園長先生のお話。
- 幼稚園と保育園の違い
- 先生1人に対する子どもの人数が違う
- 目的の違い(幼稚園は教育、保育園は保育)
- 先生(保育園)と教員(幼稚園)としての違い
- 過度の心配は必要ありません
- 子どもはまだ言葉の使い方が上手ではない。特に年少さん
- 「今日は1人で遊んだ」という言葉は「まる1日1人だった」という意味ではない
- 子どもの1つ1つの言葉を大きく心配しないでも大丈夫
- 子育てについて
- 子育ては大変なもの、人数がいるとなおさら
- 小学校に上がるまでの経験が、子どもの人格形成のベースとなる
- 思春期に入ってからその影響が如実に現れる
- 子どもにとって、日々の何気ない思い出が、将来ふと思い出す大切な思い出になる
- フルタイムで働くのはもっと後にした方がよい
- 食育について
- お箸の持ち方は今から正しくなおしましょう
- 左で持ってる人は右になおすべき
- ご飯は家族で食べる。それが子どもがご飯を食べようという意識にもなる
と、まぁこんな感じでした。ある程度はうんうん、そうだよね。と思いつつ、たまに、え?それってドユコト?と思った点がちょこちょこあります。
保護者会はなんのため?開催の意図と参加のメリット
まずはここから。何度か参加して私なりに思った内容です。
園にとって。開催のメリット
- 様々な連絡事項を伝える場です
- 園の方針を発信する場でもあります
- もちろん、年度の初回の保護者会は、役員を決めるという大事なミッションがあります。
- 普段聞けない親御さんの声を直接聞ける場です
- 質問などに答える事で、多くの方に回答を共有できます
- まとめて園児の様子を伝えることで、「うちだけ特別ではない」「全員似たような状況なんだ」という共通認識を親に持ってもらう事ができます。例:朝登園を嫌がる、給食を食べるのに時間がかかる、喧嘩した。など
親にとって。参加のメリット
- 普段入れない教室に入って、中の様子が見られます(壁に飾ってある制作物や、季節ごとの飾り物など)
- 園の雰囲気や基本的な方針を感じる事ができます
- 連絡事項をまとめて確認できます
- いつもだと、連絡ノートに書くか、お帰りの時間にバタバタしてる先生を捕まえるしかないけど、ここで不明点を確認できます
- ほかのお母さんたちの意見を聞き、どんな考え方の保護者がいるかを知る事ができます
- 他の子どもの様子を聞くことで、共通した課題や問題を持っていることを把握でき、余計な心配をしなくてよくなります
- クラスのお母さんたちの顔を把握できます→挨拶するようになる→友達になるキッカケになります
- 特に、バス通園の子どものお母さんは、クラスのお母さんたちと初対面、という事にもなります
園長先生の話は園の考え方そのもの
では、毎回ある園長先生について。園の代表者の話というのは、園の方針・考え方そのものだと思っています。と言う事は、今回話した内容も、当園はこう考えています、という発信です。
今回の話で行くと、「フルタイムで働くことは、子どもが小学校にあがってからにしてください」という点。これが一番引っかかりました。その理由として、「小学校に上がるまでの母親との時間が、子どもの人格を形成する」から。
では、「保育園の子どもは、日々の愛情を感じられていない」のでしょうか。疑問です。また、「フルタイムで働く事は、自分だけのために選択する事」なのでしょうか。これも疑問です。そういう方もいるかもしれませんが、どちらかというと少数派だと思います。もうネットで調べると様々な事例が出てくるので、ここでは細かく書きませんが、働かざるを得ない母親がたくさんいる事を、園長先生は考慮しないのでしょうか。もしかしたら、深く知らないのでしょうか。もしくは、そんな事は全て承知の上で、話をしているのでしょうか。
今回私が園長先生の話を聞いて思ったのは、「ここは働くお母さんの子どもは対象としていないのかな」という事です。延長保育を夕方までしていますが、その延長保育の説明も、はじめは「家庭の事情でやむを得ない場合にのみ利用してください。仕事の場合は控えてください」と説明がありました。のちに「仕事でもOKです」と訂正がありましたが、初めの説明を聞いて、「仕事はやむを得ない状況ではなく、お母さんが勝手に選んでいる状況」という雰囲気をプンプン感じました。
幼稚園の非効率さと時代に乗れてない感は、実は比例しているかもしれない
よく思うのでが、幼稚園の配布物は手作り感たっぷりです。そのあたたかい雰囲気はとても好きですが、持ち物や年度の連絡など、もうちょっとリスト化してくれると有難いものや、情報がかぶっているもの、プリントによって情報が異なるものなど、IT関係には弱いと思う事がいくつかあります。
そして、これは、もしかしたら幼稚園と社会の情報格差につながっているのかもしれません。
保護者には色々な方がいます。仕事も業種も様々です。最近は貧困児童や母子家庭の貧困、いじめ問題や1億総活躍といいつつ結局こどもの預け先がないまま退職せざるを得ないお母さんたちも少なからずいます。そういう情報に、幼稚園経営側は、あまり触れてないのでしょうか?分かりません。
テレビの画面の向こうの話、新聞記事になったどこかの話。そういう感触なのでしょうか。
ただ言えることは、園長先生の話が終わった時の、お母さんがたの拍手が私の想像以上に大きかったこと。幼稚園の先生方が、聞いている時に何度も大きく頷いていた姿が印象的だったこと。です。
こうやって、働くお母さんたちの立場は知らず知らずのうちに肩身が狭くなるんだな、、、というのを実感した1時間なのでした。おわり。