川崎病でガンマグロブリン投与した後、水痘とおたふくのワクチンは6ヶ月後でも免疫がつかないかもしれない

      2017/05/30


昨日、川崎病でガンマグロブリンを投与した後、ワクチンはいつから摂取可能?を書いておいて、ふともう一度ガンマグロブリン投与後のワクチンのタイミングについて調べてみたら、びっくりの記事を発見してしまいました。

 

6ヶ月過ぎてのワクチン接種でも、免疫が獲得できない場合がある!

川崎病でガンマグロブリンを投与した後、ワクチンはいつから摂取可能?では、不活化ワクチンは投与後、どのくらい期間を開けるかは関係なく、摂取が可能。生ワクチンは6ヶ月以降、と書きましたが、なんと、、、

 

この研究では免疫グロブリン療法後 6 か月で麻疹、風疹、水痘、ムンプスのいずれも生ワクチンを接種し、免疫獲得状況を確認したところ、麻疹と風疹ではある程度高い割合で免疫を獲得していましたが、水痘とムンプスでは獲得状況が低かった事実が判明しました。

日本川崎病研究センターニュースレター(No. 28) 2014. 8. 1
発行:特定非営利活動法人 日本川崎病研究センター

 

つまり、6ヶ月以上開けても、水痘とムンプスは免疫が獲得できない可能性が高い!という事だそうです。では、どのくらいの割合か。以下の記事に詳細がのっていました。

 

日本の基準は麻しんワクチンのテストから決められたが、森川さんらは免疫グロブリン療法後 6か月の子ども21人に、麻しんのほか、風しん、水ぼうそう、おたふくかぜのワクチンを接種し、3 か月後に16人の抗体価を測定した。その結果、16人中麻しんは14人 (87.5%) 、風しんは12人 (75.0%) が免疫を獲得していたが、水ぼうそうはたった 3人 (18.8%) 、おたふくかぜは 1人 (6.3%) だけだった。

「川崎病の子どもへのワクチン予防接種 「水ぼうそう」や「おたふくかぜ」は効果が薄い」 J-cast news

 

なんと、おたふく6.3%、、、。そんな、、、。

 

ワクチン接種の時期と、待たなければいけない期間。そのジレンマは大きい。

日本川崎病研究センターニュースレターで書かれていましたが、

川崎病の急性期の治療の第 1 選択は免疫グロブリンの大量療法ですが、大量の免疫グロブリンが患児体内に入り、その影響が残っている期間にワクチンの接種をしても外来性の免疫グロブリンにワクチンの効果が打ち消されて,結果としてワクチンの効果が出ない、という問題があります。それでは川崎病罹患=免疫グロブリン療法から相当の期間を空けてワクチン接種すれば良いのですが、そうするとその間にその感染症そのものに罹患してしまう可能性があるし、あるいは感染症の好発年齢から外れてしまう可能性もあります。すなわち、免疫グロブリン療法の後に、できるだけ早い時期に、しかも有効な時期になってからワクチン接種を行いたい、という矛盾した課題があり、多くの小児科医はこのような患児の親からの相談に対して悩んでいる現状があります。

日本川崎病研究センターニュースレター(No. 28) 2014. 8. 1
発行:特定非営利活動法人 日本川崎病研究センター

 

0〜2才になるまでの間は、殆ど毎月何かしらワクチンを打ちに行っていた気がします。日本小児科学会推奨のワクチンスケジュール表(日本小児科学会が推奨する予防接種スケジュール)なんて見ると、ああ、こんなにあるのか!!と驚きます。

そんな時に、6ヶ月間はワクチンを控えて下さい、となると、6ヶ月過ぎたら早く接種にいかなきゃ!と気が焦る方が多いのではないでしょうか。

実際、私は1才児息子(当時7ヶ月)が熱性けいれんで3ヶ月以上ワクチンを控えないといけなくなったとき、正直「ええ!そんな!!」と思いました。当時まだ7ヶ月だったので、ちょうどワクチン大量摂取時期のまっただ中。スケジュールも全部組み直して、順番も時期的に必要と思われるものを優先するなど、考えなおしが必要になりました。

 

しかし、ここで焦ってはいけません

 

じゃあどうしたらいいのか

将来的には、生ワクチンそれぞれの適正な時期がデータを収集することで明らかになってくるでしょう。その時期が早く来るといいなと思います。しかし、今現在、川崎病でガンマグロブリンを投与している人はどんどん増えています(川崎病患者は年々増えているらしいので)。なので、ここで少しだけですが、日本川崎病研究センターが発表している内容をまとめてみたいと思います。(情報量が少しですみません、、、)

 

  • 不活化ワクチンは期間関係ないので、必要に応じて早めに摂取
    川崎病でガンマグロブリンを投与した後、ワクチンはいつから摂取可能?
  • 生ワクチンの場合は、おたふく・水痘を後にまわす
  • J-cast newsの記事には、「日本の基準は麻しんワクチンのテストから決められた」とあるので、基本「麻しん」のワクチンは6ヶ月以降でOKと考えてよい。
  • 風しんは75%免疫獲得と記事にあったが、私としては母数(16人)が少ないと思う。よって、これが確実な割合とは思えないが、半数以上は免疫が獲得できるとは言えるのではないか。結果、風しんも6ヶ月以降でOKかと思う。

 

ちなみに、アメリカでは、11ヶ月間あけるというルールだそうです。果たしてこれが正しいのかは不明ですが、11ヶ月待ってみるのもいいかもしれません。ここは、かかりつけのお医者さんに相談してみてください。

 

川崎富作氏の想い。日本川崎病研究センター、川崎病の子供をもつ親の会の想い

ここから、ちょっと今回の話題から脱線しますが、、、。今回引用させて頂いたニュースレターの文章は、川崎病発見者である「川崎富作」氏のもので、ニュースレターの序文(挨拶部分)です。ぜひ、このニュースレターも、読んでみて欲しいです。序文だけでも、川崎病への熱い想いが伝わってきます。

私の娘は幸い軽症でしたが、やっぱり、重症で長い間または一生、運動制限や食事制限、薬の服用などをしなければいけない場合もあるんですよね。ニュースレターに紹介されていた、親の会主催の講演会で小学校5年生の男の子がした質問には、胸が締め付けられました。

剣道をやりたいけどやれますか。

お医者さんからの回答は、「やはり、控えた方がいいでしょう。」というものでしたが、この言葉がどれほど男の子の心に突き刺さることか。想像すると涙がでてきます。4才の娘は、2ヶ月間かけっこ禁止、となっただけで、すごくストレスを感じていました。運動会でも、自分だけ(風邪の人は省いて)かけっこやリレーに出られない事に、やっぱりショックを受けていました。

それが、いつまでの制限か分からない、もしかしたら一生かもしれない、となったら、子ども達にとってどれ程辛い重荷になるでしょう。

 

ニュースレターでは、お医者さん、親御さんが、川崎病の子ども達に関わる大人としてそれぞれの立場から、現在取り組んでいる事を紹介しています。

私の娘は、こういった人たちのおかげで、順調に治療をしてもらえたんだなと思うと、感謝の気持ちが湧いてきます。

ぜひ、時間のある方は、以下のサイトもみてみてください。元気が出ますよー。

 

オススメサイト

 

 

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