「貧困JKうらら」がやっぱり貧困かもしれない理由

      2017/06/19

2016.8.18にNHKで特集されていた、「子どもの貧困」についての番組ですが、翌日からかなりの炎上ネタになっているようです。

元はと言えば、「母子家庭の女子高生が番組で貧困について語る」という内容で、見たときは「なるほど、こういう状況の人がいるんだな」という程度に思いました。(多少、映し出される部屋の物の多さに違和感かんじましたけど、、、)

で、翌日のネットでは、そのうららさんネタがかなり盛り上がっていて、1日半後には、google chromeの検索バーに「貧困」と入力すると、こんな状態になるという大盛況ぶりです。↓↓↓
hinkon

 

とりあえず、色々読んでみて要点をまとめると

  • 部屋にあるものが高価(one pieceグッズ)
  • うららさんのtwitter内容から、2000円近いランチを何度も食べている事が分かる
  • コンサートや映画も何度も行っている
  • 同級生の証言も放送内容に否定的なものばかり

よって、うららさんは貧困とは言えない。

 

 

というものでした。

 

 

で、はじめは私も

あーあ、NHKも下調べをきちんとしないとダメだよねー。位に思っていましたが、なんだか違和感を覚えたので、その違和感をまとめてみました。

NHKはやらせだ!とか、かながわ子どもの貧困対策会議とNHKの関係性とか、そこらへんは調べれば色々ブログがあるので書きません。とりあえず、この1点だけ明記したい違和感を書きます。それは、

 

【貧困に対するイメージ通りでないと叩かれる日本】 についてです。

そして、それに安易に乗ってしまう国民性

 

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貧困に対する固定観念がないか

まずは、「貧困に対するイメージ」。みなさん、どんなイメージがありますか?部屋に何もない。狭い部屋。4畳半に住む親子。お風呂のない家。食事がとれていない子どもたち。学生時代からバイトをして家計を支える子どもたち。

ここらへんだとパッと浮かぶイメージですね。最近はネットで色々な記事も読めるようになりました。戸籍のない子供たちについてや、ネグレクトされた子供たち、子ども食堂でやっとご飯を食べられる親子。色々な記事がパッと目に入ってくるようになりました。

「貧困」は、生活状況をみてパッと分かるものなのでしょうか。疑問です。

 

じゃあ、何をもって「貧困」と言えるのか。

 

1人あたり、収入がいくら以下だと、貧困と言える。 ←←こんな定義があれば、分かり易いですね。では、実際にはどんな定義があるかみてみましょう(昔何かの授業でやった気もするけど、覚えてない、、、)。

 

絶対的貧困と相対的貧困

貧困の概念には、「絶対的貧困」と「相対的貧困」のふたつがあることはよく知られている。世界銀行によると、前者は2008年時点の購買力平価換算で一日あたりの生活費が1.25ドル未満の状態を指し、世界中で約14億人が該当するという。主として途上国にみられる貧困である。後者は、OECD等では各国の等価可処分所得(*1)の中央値の50%以下で暮らすこととされ、主に先進諸国における経済格差に基づく貧困だ。

(略)

たとえば日本の場合、国民一人当たりの平均年間所得は275万円(2012年実額)で絶対的には豊かだが、2012年の相対的貧困率は16.1%、子どもの相対的貧困率(17歳以下)は16.3%と先進諸国の中でも極めて貧困率の高い国だ(*2)。

絶対的貧困と相対的貧困(Huffinton post)

 

つまり、

  • 絶対的貧困の定義=1日当たりの生活費が1.25ドル未満の状態
  • 相対的貧困の定義(日本)= 1人当りの平均年間所得が137.5万円未満(275万円/2)の状態

ということだそうです。1人当り137万。ふむふむ、結構あるように見えます。

 

うららさんの場合どうなのか

では、ここで話題になっているうららさんを考えてみると

  • お母さんはパート。
  • お姉さんはたぶん自活?
  • 妹(うららさん)は学生

ということで、簡単に考えて、お母さんの扶養はうららさんのみ。所得はお母さんのパート代。うららさんはバイト?

で、ではいくら以下の収入だと貧困層に入るかというと、計算方法はこちらを参考にして(所得分布(6): 等価可処分所得とは

ざっくり「2人世帯年収が、173万円以下」という計算になります。ちなみに、3人だと211万以下。だそうです。お姉さんが同じ世帯だとしたら、211万以下になりますね。

 

で、ここで面白いブログを見つけました。

母子家庭の1ヶ月の生活費と貯金ができる節約方法のまとめ

小学生とお母さん2人の母子家庭の方が、1か月にどのくらい生活費に使っているかをまとめたものです。173万以下だと(14.4万/月)結構カツカツの生活です。子ども習い事とか家庭によって異なるものもあるので何とも言えませんが。

 

2人世帯年収173万以下の生活に、うららさんが当てはまらない理由があるか

 

で、結局はここに行きつく訳ですが。

twitterの投稿や部屋にあるものを見て、あれがやらせだ!!!と言えるまでの状況にはまだなっていないかもしれません。お姉さんからのプレゼント(画材一式)が高価だというのは特に、お姉さんが自分で稼いだお金を使っているのだと思うので、対象外です。

エアコンがなくて、首にアイスノンをまいて過ごしている。ここは本当かどうか、よく分かりません。パッと見思ったのは、あの、物が多くて風通しが悪そうな部屋で、アイスノンだけで過ごしたら、熱中症になるだろな、、、という印象は持ちました。そして、棚にある大量の漫画みたいなものや色々なグッズは、やけにおおいな、、、という印象も持ちました。

かといって、あれはやらせだ!!NHKはまたやってる!!と凶弾するためには、まだ情報がそろっていないし、時期なおはやではないかと。そして、この色々あるブログにのっかって、大量のうららさん&NHKバッシングのコメントが付いているのを見ますが、もうちょっと、10歩くらい引いて観察して、コメントをするといいのではないかと。

 

ちなみに、「建設的なお金の使い方を知らないために、50万払えなくて専門学校に行けなかっただけではないか!!」という議論は別物です。ここでは、貧困の定義173万以下(2人世帯)に入っていれば、NHKはやらせをしたのでもないし、うららさんが嘘をついている訳でもない。と思った。ということでした。

結局のところ、ここ(世帯年収)を明確にしなければ、議論は前に進まないなと。

ついでにいうと、かながわ子どもの貧困対策会議は、そこまでの審査をして対象となる子どもを選んでいるのかなー、とも思いました。どうなんでしょう。そこでフィルターがかかっていて、選択された人をNHKが取材対象にしたのであれば、ポイントはNHKではなく神奈川県にあるかもしれないなとも。

 

ということで、昨日今日でふと思ったこと。おしまい。

 

 

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